10月3日、4日に福井県福井市で開催された全国知的障害福祉関係職員研究大会へ行ってきました。私が聴講した分科会では、千葉県の施設の支援者がパネリストで登壇され、暮らし方の意志決定支援の話をされていました。「そもそもグループホームという暮らし方を自分から望んで暮らし始めた人は少ない。」という話をされていました。いろいろな暮らしの選択肢が本当はあるということです。ちょうどわらびの利用者の中にも「一人暮らしをしたい」と言っている方がいるので、その意思をどのように尊重すればよいか、今回の研修を参考にして実践していきたいと思っています。
意思決定が大事というのはその通りなのですが、自分のことを自分で決めるのは実は難しいことですよね。「暮らし方」という大きな意思決定をする前に、今の自分の生活についての小さな意思決定をすることも大切な意思の耕しになると思います。そして大きな意思決定に関してですが、まず自分のやりたい事のおおまかな方向づけからしていくのが大切ではないかと思います。私たち支援者の立場からいえば意思決定支援の前段階の意思形成支援です。そこから何がしたいのか何がしたくないのか、何ができるのか何ができないのかを確認して意思決定に至るのだと思います。
わらびにおいて暮らし方が変わる利用者がいたとしても、サポートが必要な部分を支援者がサポートをするという方針は変わりません。「地域移行」とは、地域へ追い出して放っておくということではありません。本人の望む暮らし方を一緒に探して見つけることを大切にし、本人もご家族も不安のないサポートを支援者が一丸となってやっていければと思っています。
新年明けましておめでとうございます。本年も皆様にはあたたかいご支援を賜りたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
社会福祉法人あさみどりの風は、2020年10月に前法人であるあさみどりの会わらび福祉園から運営を継承して事業を開始し、2024年の10月からは5年目に入ることとなりました。
あさみどりの風の理念である「誰もが援け合いの中で、共にくらし、共にそだちあう地域文化をつくる」は、障害を持った方の支援という枠を超え、人と人とのつながりを深め、地域に住む全ての方々が共生する社会の実現を目指しています。その根幹には、誰もが「孤立することなく、援け、支え合いながら生きる権利」を持つという考え方があり、また、それを実現するための地域文化の育成が含まれていると考えています。
「理念」と言うととても崇高で身近ではないと捉えがちになってしまいますが、日々の営みの中にも理念へと繋がることは多く含まれています。今月のブログでは3人の方が記事を投稿してくれていますが、防災や和來の活動等の地域での活動は「地域文化をつくる」ため取り組みそのものですし、意思決定支援は「誰もが援け合う」ために必要不可欠な要素です。理念とは難しい行動や思考で達成していくものではなく、私たちが普段行っていることの延長線上にあるのだと考えています。
「誰もが援け合いの中で共に生きる」ということは、障害の有無に関わらず、すべての人々が幸せに生きるために必要なことです。法人設立5年目という節目を迎え、この理念を共有し、行動に移すことで、より豊かな地域社会を築くことができると考え、日々を歩んでいきたいと思います。
わらび開設当初(前法人)の写真です。そこから40年以上にわたり理念を繋いできました。
私は現在、生活介護事業所わらびで生活支援員として働いています。生活介護では作業を主としており、利用者さんがどのように作業したいのかを知ったり、それに向けてどのような取組が出来るのかを皆で考えたり、作業が出来た事を皆で共有する日々にやりがいを感じています。そのような中ですが、頭の片隅には学生の時に目指していた「相談支援専門員をやってみたいな」という想いもありました。
しかし、「難しそうだし私には出来ないかも」と漠然と考えていると、施設長から「やってみない?」と声をかけていただきました。背中を押され、挑戦してみようという気持ちになり、今年度、相談支援従事者初任者研修を受講しています。研修では座学の他に小グループでの演習もあり、同じグループの中には制度について詳しい方や話し方が丁寧な方など様々な方がいらっしゃり、刺激を受けることがたくさんあります。また、課題のひとつに事例検討がありました。対象の方に聞き取りを行い、課題を作成していく中で学んだことは、相談支援専門員の聴き方や読み取りの力などによって、相談者から出る言葉や仕草などは大きく変わるという事です。私が聴くと答えに困っていたことを、他のスタッフには伝えていたことがあり、改めて関係性づくりの大切さや聴き方についてなど、学ぶことはまだまだ多くあると思いました。
研修も残り少なくなりましたが、無事に終えることができるように全力で取り組みます。
今回の視察は、あさみどりの会れいんぼうワークス所長田中雅樹さん(輪島市出身)も一緒でした。彼の実家の辺りの住民は、全員が自衛隊のヘリコプターで救助され、現在は多くの方が仮設住宅暮らしをされているそうです。たまたまその仮設住宅が視察施設の近隣だったので訪問させていただくと、水害後に実家の辺りを取材した報道者と映像を観られているところでした。その映像は、もう、実家の辺りに戻ることは厳しい状況を示すものだったようで、田中さんのお母さまは「水害は地震より質が悪い」とおっしゃっていました。かなりショッキングな映像だったと思うのですが、次にお母さまの口から出たのは「もう、戻るのは難しい。今、仮設で地域の人がまとまって暮らせている。このまま地域の人が一緒に暮らせるように、この先のあの廃校になった学校の土地があれば広くなる。みんなで暮らせるのが良い・・・」という言葉でした。この厳しい現状のなかで、直ぐに次なる最善の策を考えられるその「生き抜く力」に圧倒されました。そして、その背景には地域の縁を育んできた「みんなで」の力が大きいように感じました。
わらびにも、ご本人を中心に、ご家族・支援者の「みんなで」の空気が流れていると思っています。この「みんな」のなかに、地域の方々が自然と含まれるように地域の縁を紡ぎ、大きな力となる「みんな」の輪を育んでいきたいと思っています。
仮設住宅 田中家はこの木の部分に実家から持参した盆栽が飾られていました。
「こんなことなら、もっと持ってくれば良かった・・・」と
夫に相談すると、「自分はどうしたいのか?」と問い返されました。「自分はどうしたいのだろう?」と改めて自分の気持ちを整理すると、家庭と仕事全てがスムーズに行かない事にただやみくもに重きをおいていたことに気付きハッとしました。「自分の大切にしたいこと」や、「仕事や育児の“軸”」を具体的にすることで、漠然と何もかもがダメだと思えていましたが、出来ていることも見えてきました。その1つが思ったよりも早く子どもが保育園に慣れていることでした。そこで、今年度の途中からは時短勤務から通常勤務に変更し、今に至ります。
悩みや心配ごとを事前に全てクリアにすることは難しいですし、思ったようにならないことも多くあります。そこで大事なのは「申し訳ない」という気持ちに潰されてしまうのではなく、配慮に感謝し、貢献で応えていく気持ちを意識することではないかと感じています。「助けてもらったのだから、自分が助けに回れるときには率先して助ける」という思いを持ち、周囲に支えられている今の状況に感謝をする気持ちをいつも忘れずにいたいです。
令和6年元日に起きた能登半島地震においては、多くの福祉事業所が甚大なる被害を受けました。愛知県知的障害者福祉協会では広域避難を受入れ、指定避難所を開設して2か月間支援を続け、あさみどりの風のスタッフも様々な形で支援に入りました。その場で被災状況を現地の方の生の声をお聞きするなか、愛知県で今後起こり得る大規模災害の防災対策や被災後の応援体制等について、できる限りの準備を行っていく必要性を痛感し、協会加盟事業所が組織的に対応していくことを目的に今年度、防災委員会が立ち上がりました。(私は副会長として共に動くことになりました)
協会としては、新型コロナウイルス感染症が猛威を奮った際は、クラスターとなった事業所への応援体制を組織的に行っていました。しかし、震災となると同時期に多くの事業所が被災することが想定され、支援体制も同じようにはいかないと予測されます。正直、未知のことが多くわからないことばかりなので、10月6~7日に防災委員と協会役員で、福祉事業所の現状や実効性のあるBCPについて学ぶと共に、障がいのある方の地域生活の復興を知るために、輪島・珠洲へ視察に行ってきました。
こ の計画を立てたのは今春のことでした。この時、まさか能登に次なる災害が起こるとは思ってもみないことでした。9月の能登半島豪雨により広域避難されていた方々の事業所の1つは1階が床上浸水し、泥が入り込み使えない状況となっていました。また1軒のグループホームも近くの崖が崩れ始めているということで、緊急避難を余儀なくされていました。関係者の方はその状況を「二重災害」と表現されていましたが、復興に向け頑張っていたところなので、その気持ちの落ち込みはただならぬものだということは想像に難くないものであり、南海トラフ地震を思うと他人事ではないと気持ちが引き締まりました。(続きはまた)
現在日中活動では、生産活動を中心としたプログラムのなかに時々レクリエーションを取り入れ、利用者の皆さんが役割をもつなかでやりがいを感じながら、楽しく生活が送れるような活動の提供に努めています。今後については利用者の方の年齢が上がっていることに応じて、日中活動の在り方・活動内容も変化させていく必要があります。その次のステージに向け動こうとしている今、気になることもあります。
あさみどりの風のスタッフ間には、利用者の方の想いに寄り添うことを大事にし、ひとり一人の意見や想いを尊重し合ったチーム支援が行えるような風土はあると感じています。それは良いことだと思っていますが、近頃(その風土を保たなければ)という思いが強すぎることでの遠慮や発言のしにくさを感じることがあります。私も正直なところ遠慮して言葉を飲むこともあります。お互いを想い合うことがいけないとは思ってはいませんが、利用者支援においては、必ずしも良いとはいえないこともあると感じています。
スタッフが気を配るべきは利用者の方です。私たちスタッフの目標は「利用者の方々の幸せ」であり、気を使うべきは利用者の方々であることを忘れず、次のステージに向け進んでいきたいと思っています。そのためにも、現在あさみどりの風がもっている風土を大事にしつつ、自分たちは何ができるのか?ということを、皆でワクワクしながら意見を出し合えるチームへの成長を目指します。そして、利用者の方と共に「皆が幸せ」と感じる次のステージを築き上げていきたいです。
人口減少、超少子高齢化、一人暮らし世帯の増加等、社会の様相は大きく変化しています。それに伴い障がい分野では、「障がいがあっても地域で生活が続けられるよう支援する拠点等の整備」が自治体ごとに進められています。みよし市では障がい福祉関係者だけでなく、地域住民や企業等の理解や協力を得て、「障がいのある・なしに関わらず、互いに人格と個性を尊重し合いながら共生する地域社会の実現」を目指しています。また高齢分野では、全ての市民が「生まれてからずっと、安心して暮らせるまち」の実現を目指し、福祉・医療・介護の連携を強化しながら、ネットワークづくりを推進する「みよし市独自の地域包括ケアシステム」の構築に取組んでいます。
それぞれの取組を進める中、地域共生社会を実現するためには、子ども・障がい者・高齢者・生活困窮者といった対象者ごとの支援体制だけでは、皆さんが持つ様々なニーズへの対応は出来ないことがはっきりと課題として出てきました。そこで、今年度10月より新たな取組として、おかよし地域包括支援センター内で重層的支援体制整備事業モデル事業が開始されます。重層的支援体制整備事業とは複雑・複合課題を抱えた世帯(ヤングケアラー・8050・多重債務・孤立等)を福祉・医療・介護などの各制度・分野にこだわらず、 「包括的に支える仕組み」をみんなで創っていく事業です。みよし市では地域包括支援センター、障がい者相談支援専門員、コミュニ ティソーシャルワーカーが協働して動きます。わらびからも障がい者相談支援専門員がこの事業に加わります。
(参考)厚生労働省「重層的支援体制整備事業の実施について」
第7期みよし市障がい福祉計画・第9期みよし市高齢者福祉計画
福祉・介護で働く人手が足りないと言われて久しく、今後を考えると、何か手を打たなければ事業経営自体が厳しくなるのは必至と思っています。
その一つの対応として、11月より特定技能の外国人労働の方2名の受け入れを開始することとしました。特定技能は、2019年に創設された在留資格で、人手不足が深刻な特定産業分野で外国人労働者を受け入れるために国が決めたものです。
当法人と長く深いお付き合いのある他団体の方が、特定技能や技能実習を取り扱う管理団体に転職され、その方から特定技能についてお聞きし、オンライン(ZOOM)を利用して、異国間での面接をする運びとなりました。
複数名の方と面接をさせていただくと、どの方も日本での労働に対する真摯な姿勢は画面越しでも伝わってきて、20代前半の若い年齢で自分や家族のため、遠い国でチャレンジしようとする姿に強い感動を覚えました。特定技能で労働するには、日本語能力試験でN4相当の語学力が必要で、みなさま能力試験をすでにパスしているとのことでした。
求人において、差別なく公平性が求められる現代、外国人雇用を特別視して扱う事も差別につながり、慎重な対応が求められます。しかしながら、異文化で暮らしてきた方たちが、日本で安心して働くためには、双方に配慮や歩み寄りがないと、その実現は難しいと思います。私たちは、どんな人でも差別なく、安心して暮らせる社会の実現を目指す支援者です。違う文化で暮らしてきたという背景がありながら、大きな期待と真摯な気持ちで日本に来る外国の若者たちに、がっかりされないような雇用機会の提供と障がい支援という仕事のやりがいを感じていただけるよう取り組んでいきたいと思います。
平成元年8月に開催された水の恵みに感謝して池に舟を浮かべ、その上に山型の提灯を飾り、祈願船とともに奉る大御饌調進祭(おおみけちょうしんさい)が、三好池まつりの始まりです。平成2年からは花火を打ち上げるようになり年々盛大なってきました。その三好池まつりが今年も8月5日に開催されました。
今年度、商工会より「障がいのある方の社会参加」、「障がいのある方との協働」、「障がい福祉の啓発」などの目的で、花火会場のDustステーションでのゴミの分別、夏の大縁会会場での物販などのボランティア活動ができないだろうか?と、みよし市役所福祉課に相談があり、みよし市くらし・はたらく相談センターとして取り組むこととなりました。そこで、市内の福祉事業所、相談支援事業所などに声をかけ、事業所職員や相談支援専門員と当事者の方の参加を募りました。
当日はあさみどりの風からも、職員と利用者さんが自主製品の販売やDustステーションでのゴミの分別などの活動に参加をしました。また、あさみどりの風以外の市内の当事者の方と相談員もボランティアとして参加をされていました。その中には障がいの特性上、他者と関わることに苦手さを感じたり、生活上の困難さを抱えながらも地域の中でお互いに助け合いながら1人で生活されている方々もみえます。そんな当事者の皆さんがとても暑い中で一生懸命にゴミ回収などの活動をされ、会場に来ている人からは、「ご苦労様」「ありがとう」などの声をかけてもらっていました。「障がいの有無にかかわらず、みよし市の一員として」ということを感じられた時間でした。皆さん本当にお疲れさまでした。