「援け合いの地域文化をつくる」

理事長 熊谷かの子

 あさみどりの風の基本理念「誰もが援け合いのなかで、共にくらし、共にそだちあう地域文化をつくる」は新法人としての存在意義・使命は何かを話し合うなかで生まれた、かなり大それた理念です。日本全体では高齢化・人口減少ペースが加速的に進み、地域・家庭・職場という人々の生活領域における支え合いの基盤が弱まっていると言われます。そのなかでみよし市は、しばらくは人口増加が予想され、財政健全度も県内でベスト3、災害に強い街ランキングでもベスト3に入るという、とても恵まれた環境です。ある意味、日本全体で課題になっている上記のような危機感は感じにくい地域でもあります。しかし、いつかはやってくる状況であり、みよし市の社会福祉法人として、恵まれた環境であるからこそできることを今から取り組んでいく必要を感じます。

 日々のお母様方との会話からはもちろん、先日のフォーラムあさみどりや父親懇談会でお話をうかがうなか、改めてあさみどりグループの特徴のひとつである「家族と共に」動くなかで育まれた温かな絆を実感しました。本人方の幸せな人生を願い、本人を中心に家族の皆さまと様々な想いを共有しながら、相互で援け合っているこの動きは「援け合いの地域文化をつくる」ことと似通っているように思います。わらびで「家族と共に」育んできた環境が、地域で育まれていたならば、誰もが安心してくらせる地域となっているのではないでしょうか。

 皆さまと共に、そんな地域づくりをしていきたいと思っています。

フォーラム・あさみどりを開催しました。

共同生活援助事業所わらび管理者 重松朋博

 5月19日(土)東京第一ホテル錦にて「第17回フォーラム・あさみどり」が開催されました。あさみどりの会・あさみどりの風合同でのグループ催事で、功労者・永年勤続者表彰、後援会総会を執りおこなった後、研修として厚生労働省より野﨑伸一氏と國信綾希氏のお二方をお招きし、講演会と会場参加型の鼎談をおこないました。

 野﨑氏より「地域共生社会の実現に向けて」と題したご講演をいただいた後、國信氏とれいんぼうワークスの田中雅樹所長が加わり、「あさみどりグループとしてのこれから」というテーマで鼎談に進みました。

 野﨑氏の講演で100年後に向けて日本人口が5000万人以下に半減していくことが予測される中、現代の価値観が逆転していくのではという見立ての元、社会福祉の担い手の姿について、スタッフが大半の参加者にもスマホを利用し、質問回答で参加してもらいました。「共生社会に向けて必要なこと、面白いことはドンドンやっていきましょう」というリーダーからの圧力(ポジティブハラスメントと命名)など、今事業所で担っている仕事の負担感や今後担っていく仕事への不安などの本音回答で盛り上がりました。

 血縁家族が被災した輪島出身の田中所長より、正月よりの被災地派遣体験で感じた人のつながり(血縁、地縁、職縁に次ぐ目的つながりなどの4つ目の縁)の大事さと田中所長の「この仕事の魅力は何にでもチャレンジできるクリエイティブさ」という発言に、厚生労働省のお二人にも深く共感いただき、会の幕を閉じました。総合司会を務めながら、これからの福祉の役割や従事する心構えなどについて、大変参考になる研修でした。

わらびのある街みよし

                              副施設長 柿下大悟

みよし市には障害福祉施策の方針等をまとめた「みよし市障がい者福祉計画」というものがあります。数年ごとに更新される計画なのですが、2024年度から新たな計画期間がはじまります。この計画は基本理念として「全ての市民が、障がいのある・なしに関わらず、互いに人格と個性を尊重しあいながら共生する地域社会の実現」を掲げ、さらに基本目標として「基本目標1:一人ひとりのライフステージに応じた切れ目のない支援体制づくり」、「基本目標2:障がいがあっても安全に、安心して暮らせる地域づくり」、「基本目標3:互いを尊重し助け合い、支え合う関係づくり」というものをあげています。これらの理念、目標を基に、①権利擁護、②生活環境、③保険・医療、④地域生活支援、⑤療育・教育、⑥雇用・就労、⑦社会参加、⑧障がいの理解、と言った8つの項目にわかれた施策の方向性が示されています。【出典:「みよし市障がい者福祉計画」第3章】

 「障がい者」に関わる計画ですので当然ではあるのですが、私たちあさみどりの風が目指す「誰もが援け合いの中で、共にくらし、共にそだちあう地域文化をつくる」という理念にも通ずる部分も多くあります。法人単独での理念、目標、事業計画も大切ではありますが、それが地域(みよし市)の目指すものとどうリンクしているかを知ることも重要です。自分たちにとって後押しとなること、課題となること(=地域の課題とも捉えられる)等を広い視点で見ることができればより具体的な動きがとれるかもしれません。より詳しい内容については、みよし市のHP等から検索することで閲覧も可能です。私たちの地域のことを知るひとつのキッカケとしてみてはいかがでしょうか。

父親懇談会を行いました

                            事務局長  伊吹 緑

2024年5月25日(土)に父親懇談会を行いました。13名のお父様に参加していただき、午前中は法人から、事業計画・事業説明を行い、午後は4つのグループに分かれて、お父様とスタッフで「将来の暮らしについて・法人の事業計画を聞いて」をテーマにディスカッションをしました。

例年、懇談会では「我が子の様子」を中心に、お話を聴かせていただいておりましたが、今回は上記テーマに沿って話し合いをしたことで、お父様から、「事業計画を聞いて、移動支援(ヘルパーステーション)の経営状況がわかった。家族として行政に訴えていくことも必要ではないか」「新しいグループホームが建っても働き手がいないとなると、外国人労働者を雇うなど10年20年先を考えたプランニングをしないと」など、お父様の視点からの意見を伺うことができ、支援者として新たな発見や気付きがたくさんありました。

あさみどりの風は、これまでご本人・ご家族とともに歩んできた歴史があるからこそ、皆で一緒に考えていくことができる法人だと、改めて実感することが出来ました。

お忙しい中、ご参加いただきありがとうございました。

次回は12月を予定しております。