7月6日(土)に第61回心身障害問題を考える集いが開催されました。今回は「共に助け合う社会の実現に向けて」というテーマのもと、野澤和弘氏(植草学園大学副学長・発達教育学部教授)を講師に招き「弱さを愛せる社会へ」(野澤氏の著書の題名でもあります)と題した講演をしていただきました。
40年後には日本という国はなくなっているかも?といった刺激的なはじまりでお話をされていきました。もちろん、必ずそうなるというわけではなく、そういった可能性が現在の日本にはあるということです。そこには、虐待、貧困などの社会的な課題や、自罰感情を持ちやすいという日本人特有のメンタリティーなど、様々な要因が絡んでいると野澤氏は仰っていました。
では、これから先、私たちはどのような道を歩んで行けばよいのでしょうか?野澤氏の様々なお話の中で、私は「当事者のパッション」という部分に強く思いが惹かれました。障害のある方の、訴えや想いに対して心を動かされた経験が自分にもありますが、それは、皆さんが発信してくれる想い(言葉や、言葉以外の部分も含めて)が、自分の感情を揺さぶり、野澤氏の言葉を借りれば、五感をフルに使った思考をさせてもらえるからなのだと思います。そういった力(パッション)が私たちの支援する方々にはあり、もしかしたら社会を変えていくひとつの流れを生む力に繋がるのかもしれません。
野澤氏の講演を通して、私たちの仕事の意味を考え、障害分野だけでなく広い視点で社会を観ることの重要性を教えていただいたと感じました。そして何よりも目の前の利用者さんへの支援を大切にしていきたいと、想いをあらたにする機会となりました。
平成元年8月に開催された水の恵みに感謝して池に舟を浮かべ、その上に山型の提灯を飾り、祈願船とともに奉る大御饌調進祭(おおみけちょうしんさい)が、三好池まつりの始まりです。平成2年からは花火を打ち上げるようになり年々盛大なってきました。その三好池まつりが今年も8月5日に開催されました。
今年度、商工会より「障がいのある方の社会参加」、「障がいのある方との協働」、「障がい福祉の啓発」などの目的で、花火会場のDustステーションでのゴミの分別、夏の大縁会会場での物販などのボランティア活動ができないだろうか?と、みよし市役所福祉課に相談があり、みよし市くらし・はたらく相談センターとして取り組むこととなりました。そこで、市内の福祉事業所、相談支援事業所などに声をかけ、事業所職員や相談支援専門員と当事者の方の参加を募りました。
当日はあさみどりの風からも、職員と利用者さんが自主製品の販売やDustステーションでのゴミの分別などの活動に参加をしました。また、あさみどりの風以外の市内の当事者の方と相談員もボランティアとして参加をされていました。その中には障がいの特性上、他者と関わることに苦手さを感じたり、生活上の困難さを抱えながらも地域の中でお互いに助け合いながら1人で生活されている方々もみえます。そんな当事者の皆さんがとても暑い中で一生懸命にゴミ回収などの活動をされ、会場に来ている人からは、「ご苦労様」「ありがとう」などの声をかけてもらっていました。「障がいの有無にかかわらず、みよし市の一員として」ということを感じられた時間でした。皆さん本当にお疲れさまでした。
みなさんは今、誰とどんな暮らしをしていますか?そしてこれから先、誰とどんな暮らしがしたいですか?今の暮らしに大満足ですか?できればこうしたい。本当はこんなことができればいい。と思うことはありますか?なんてことを、ちょっと掘り下げて考えてみたことはありますか?
人は誰でも自分が望む生活を送りたい、自分の生活は自分で決定したいという願いを持っていると思います。「障害」を理由に、このあたりまえの願いを叶えられなかったり、選択の機会に恵まれないということはないでしょうか?
これまでの障害福祉の歴史では、どちらかというと「障害を持つ方の将来の生活=グループホーム?入所施設?」といったイメージが強かったのではないでしょうか。しかし、現在は本人の権利を尊重し、本人の意思決定を大切にした支援がより求められています。「自分の生活を自分で決定する」ことは本来あたりまえのことです。しかし実際は、障害を持つ方が自分の望む暮らしをイメージし、決定することは、ご本人にとっても、ご家族にとっても、私たち支援者にとっても、容易なことではないのかもしれません。それでも、誰のためのサービスなのか、もう一度原点に戻り、ご本人が望む暮らしをあれこれと一緒に考えたり、体験を重ねながら少しずつイメージを膨らませ、実現に向け動いていきたいと思います。
あさみどりの風には(あさみどりの会時代から)、既存の制度にとらわれず、ご本人、ご家族、地域にとって必要な機能を一緒に創り出し、形にしてきた歴史があります。こうした精神を大切に、これからも「本人」に焦点をあてて、本人が望む暮らしや、生活を創造していきたいと考えています。