10月、11月は秋祭りの季節で私たちも沢山の祭りに参加をしました。利用者の方の作ったペットボトルキャップホルダーや光るヘアゴム、オリジナルTシャツなど、祭りに合わせた工房商品が新たに加わり人気商品となりました。物価高で、せんべいのサイズ縮小やクッキーの値上げなど厳しい状況もありましたが、和來もダンスや弁当提供などで祭りを盛り上げました。
最近の祭りに参加して感じたのは活気の低下です。調べてみると、近年、人口減少や高齢化、ライフスタイルの変化により、実際に多くの地域で祭りが減少していることが分かりました。祭りの減少は地域住民の交流や、コミュニティの活性化の阻害、また地域共生の取り組みの衰退につながる可能性があると懸念されています。祭りは単なるイベントではなく、文化の継承や交流の場として、その地域に根づいてきました。もし本当に衰退しているのであれば悲しいことです。
和來はコロナ禍でテイクアウト弁当専門のうどん屋を始めました。その経験から「うどん屋はうどんだけ」という固定観念をもたず、地域の方の声に耳を傾ける大切さと、情勢を見極める重要性を学ぶことができました。だからこそ、地域の祭りを盛り上げるには、固定観念にとらわれない地域のニーズに合わせた新しい取り組みが必要だと考えています。例えば、特産品を使った商品の開発や、高齢者施設への移動縁日の提供。また、みよし市で力を入れ取り組んでいる「地域生活支援体制整備」のシンボルマーク「ココカラ」とのコラボ商品の開発、事業や制度の情報発信の場となるような多様性のある地域展開を検討しています。
具体的な内容は決まっていませんが地域に展開をすることで、店舗の中では出来なかった様々なことが可能になると考えています。「共に地域文化をつくる」という法人理念の一節のもと、たとえ地域の祭りが変化していったとしても、地域に根差した「交流」や「情報発信の場」として、祭りのようにワクワク出来る活動をしていきたいと思っています。今後の和來のさらなる活動を是非、応援してください。
10月3日、4日に福井県福井市で開催された全国知的障害福祉関係職員研究大会へ行ってきました。私が聴講した分科会では、千葉県の施設の支援者がパネリストで登壇され、暮らし方の意志決定支援の話をされていました。「そもそもグループホームという暮らし方を自分から望んで暮らし始めた人は少ない。」という話をされていました。いろいろな暮らしの選択肢が本当はあるということです。ちょうどわらびの利用者の中にも「一人暮らしをしたい」と言っている方がいるので、その意思をどのように尊重すればよいか、今回の研修を参考にして実践していきたいと思っています。
意思決定が大事というのはその通りなのですが、自分のことを自分で決めるのは実は難しいことですよね。「暮らし方」という大きな意思決定をする前に、今の自分の生活についての小さな意思決定をすることも大切な意思の耕しになると思います。そして大きな意思決定に関してですが、まず自分のやりたい事のおおまかな方向づけからしていくのが大切ではないかと思います。私たち支援者の立場からいえば意思決定支援の前段階の意思形成支援です。そこから何がしたいのか何がしたくないのか、何ができるのか何ができないのかを確認して意思決定に至るのだと思います。
わらびにおいて暮らし方が変わる利用者がいたとしても、サポートが必要な部分を支援者がサポートをするという方針は変わりません。「地域移行」とは、地域へ追い出して放っておくということではありません。本人の望む暮らし方を一緒に探して見つけることを大切にし、本人もご家族も不安のないサポートを支援者が一丸となってやっていければと思っています。
南海トラフ巨大地震が40年以内に90%以上の確率で起こると言われていますが、準備ができていないと感じる時が多くあります。実際に災害が起きた時に支援が必要となる障がいを持たれている方や高齢者などの避難行動要支援者と言われる方々が、安否確認も含めどのように避難していくかを具体的に決めていく必要があると感じています。みよし市災害時避難行動要支援者登録をしてもらうと個別支援計画を作成する流れになっています。計画は各行政区の自主防災会が作成となっていますが、実際は「相手を知らなかったりして難しい状況」とお聞きしました。地域包括支援センターや基幹相談センターは専門職で高齢者や障がい者の生活状況を把握しています。しかし、災害時に地域にいないことも想定され、また地域とのつながりや災害時の知識が少ないというのが実情です。反対に地域の方は、常にその地域にいて、災害に対する知識がある人もみえます。ですから、お互いの良いところを組合わせていくことで、対象となる方々の安全確保につながっていくのだと考えています。まずは関係機関と地域との距離を縮めることからスタートし、防災の知識も教えてもらいながら避難体験などを一緒に行い、障がいを持った方などの生活実態を知ってもらった上で協働で計画作成をしていけたらと考えています。
そのための一歩として、また重層的支援の取組を知ってもらうため、11月24日に開催された三好丘行政区の防災訓練にボランティアとして参加しました。支援している方の家族から「今日はどうして来てるの?」と尋ねられるたびに理由を伝えると知り合いを紹介してくれました。「ちょっとは、顔が知ってもらえたかな?」と感じる瞬間でした。参加をきっかけに地域の防災士から能登の震災を通して今後の取組への助言を頂くこともできました。今後は、各行政区の自主防災会の方々と一緒に話し合いを重ねながら災害時に備えていきたいと思っています。
新年明けましておめでとうございます。本年も皆様にはあたたかいご支援を賜りたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
社会福祉法人あさみどりの風は、2020年10月に前法人であるあさみどりの会わらび福祉園から運営を継承して事業を開始し、2024年の10月からは5年目に入ることとなりました。
あさみどりの風の理念である「誰もが援け合いの中で、共にくらし、共にそだちあう地域文化をつくる」は、障害を持った方の支援という枠を超え、人と人とのつながりを深め、地域に住む全ての方々が共生する社会の実現を目指しています。その根幹には、誰もが「孤立することなく、援け、支え合いながら生きる権利」を持つという考え方があり、また、それを実現するための地域文化の育成が含まれていると考えています。
「理念」と言うととても崇高で身近ではないと捉えがちになってしまいますが、日々の営みの中にも理念へと繋がることは多く含まれています。今月のブログでは3人の方が記事を投稿してくれていますが、防災や和來の活動等の地域での活動は「地域文化をつくる」ため取り組みそのものですし、意思決定支援は「誰もが援け合う」ために必要不可欠な要素です。理念とは難しい行動や思考で達成していくものではなく、私たちが普段行っていることの延長線上にあるのだと考えています。
「誰もが援け合いの中で共に生きる」ということは、障害の有無に関わらず、すべての人々が幸せに生きるために必要なことです。法人設立5年目という節目を迎え、この理念を共有し、行動に移すことで、より豊かな地域社会を築くことができると考え、日々を歩んでいきたいと思います。
わらび開設当初(前法人)の写真です。そこから40年以上にわたり理念を繋いできました。