三好ヶ丘にある認知症カフェ「わらかど」は、8のつく日に開催されています。私は、その木漏れ日が差し込む穏やかな空間で3カ月に1回、音楽レクリエーションのお手伝いをしています。参加者の皆さんと季節の歌を歌ったり、楽器を演奏したり、体を動かすゲームをしたり、バラエティ豊かなプログラムを楽しんでいます。わらびからも利用者の方数名と職員が参加しています。
今まで参加する中で特に印象的だったのは、即興ピアノ演奏のセッションです。「春の思い出」をテーマに対話をしながら、参加者に思うままにピアノの鍵盤を押してもらい、それに合わせて私が伴奏をつけるという形で行われました。最初は「ピアノなんて弾けないわ」と遠慮していた方も、恐る恐るピアノに触りながら少しずつ話を聞かせて下さいました。その中で、亡くなったお母さまやご主人の話、ご自身の若い頃の話などを語る中で、涙ぐむ方もいらっしゃいました。語られる言葉を通じてその人の人生に触れ、皆で一緒に笑ったり泣いたりして、優しくも心が激しく動く体験をしました。
いま、地域共生社会の実現に向けて様々な取り組みがされています。あさみどりの風の法人理念にも示されていますが、その意味は広く支援者である私たちが実際にどの様に行動すれば良いかは少し分かりづらさがあると感じていました。『わらかど』での活動を通じて、障害や認知症の有無に関係なく、誰もが自然に関わり合い、共に生きていく姿に触れ、そこから生まれる柔らかな空気を感じています。このような風景が日常の一部として溶け込んでいくことが、地域共生社会の実現につながっていくのかなと思います。これからも、この歩みを楽しみながら、自分なりの形で地域共生社会の実現に関わっていければ嬉しいです。