「地域共生社会の実現に向けたみよし市重層的支援体制整備モデル事業の実施」

相談支援事業所わらび 深田明男

 人口減少、超少子高齢化、一人暮らし世帯の増加等、社会の様相は大きく変化しています。それに伴い障がい分野では、「障がいがあっても地域で生活が続けられるよう支援する拠点等の整備」が自治体ごとに進められています。みよし市では障がい福祉関係者だけでなく、地域住民や企業等の理解や協力を得て、「障がいのある・なしに関わらず、互いに人格と個性を尊重し合いながら共生する地域社会の実現」を目指しています。また高齢分野では、全ての市民が「生まれてからずっと、安心して暮らせるまち」の実現を目指し、福祉・医療・介護の連携を強化しながら、ネットワークづくりを推進する「みよし市独自の地域包括ケアシステム」の構築に取組んでいます。

 それぞれの取組を進める中、地域共生社会を実現するためには、子ども・障がい者・高齢者・生活困窮者といった対象者ごとの支援体制だけでは、皆さんが持つ様々なニーズへの対応は出来ないことがはっきりと課題として出てきました。そこで、今年度10月より新たな取組として、おかよし地域包括支援センター内で重層的支援体制整備事業モデル事業が開始されます。重層的支援体制整備事業とは複雑・複合課題を抱えた世帯(ヤングケアラー・8050・多重債務・孤立等)を福祉・医療・介護などの各制度・分野にこだわらず、 「包括的に支える仕組み」をみんなで創っていく事業です。みよし市では地域包括支援センター、障がい者相談支援専門員、コミュニ ティソーシャルワーカーが協働して動きます。わらびからも障がい者相談支援専門員がこの事業に加わります。

(参考)厚生労働省「重層的支援体制整備事業の実施について」

第7期みよし市障がい福祉計画・第9期みよし市高齢者福祉計画

あらたな可能性に向けて

共同生活援助事業所わらび管理者 重松朋博

 

 福祉・介護で働く人手が足りないと言われて久しく、今後を考えると、何か手を打たなければ事業経営自体が厳しくなるのは必至と思っています。

 その一つの対応として、11月より特定技能の外国人労働の方2名の受け入れを開始することとしました。特定技能は、2019年に創設された在留資格で、人手不足が深刻な特定産業分野で外国人労働者を受け入れるために国が決めたものです。

 当法人と長く深いお付き合いのある他団体の方が、特定技能や技能実習を取り扱う管理団体に転職され、その方から特定技能についてお聞きし、オンライン(ZOOM)を利用して、異国間での面接をする運びとなりました。

 複数名の方と面接をさせていただくと、どの方も日本での労働に対する真摯な姿勢は画面越しでも伝わってきて、20代前半の若い年齢で自分や家族のため、遠い国でチャレンジしようとする姿に強い感動を覚えました。特定技能で労働するには、日本語能力試験でN4相当の語学力が必要で、みなさま能力試験をすでにパスしているとのことでした。

 求人において、差別なく公平性が求められる現代、外国人雇用を特別視して扱う事も差別につながり、慎重な対応が求められます。しかしながら、異文化で暮らしてきた方たちが、日本で安心して働くためには、双方に配慮や歩み寄りがないと、その実現は難しいと思います。私たちは、どんな人でも差別なく、安心して暮らせる社会の実現を目指す支援者です。違う文化で暮らしてきたという背景がありながら、大きな期待と真摯な気持ちで日本に来る外国の若者たちに、がっかりされないような雇用機会の提供と障がい支援という仕事のやりがいを感じていただけるよう取り組んでいきたいと思います。

わらびカフェって何??

ヘルパーステーション笑の家 サービス提供責任者 近藤竜也

 

 わらびの5つ目のグループホームである『風の家』は「風通しのいい家で、地域の人達がふらっと遊びに来られる地域交流ができるようなホーム」というコンセプトがありました。

 みよし市社会福祉協議会主催の研修会で「地域に住んでいる高齢者の方達が自由に参加できるカフェのような場所があればいいよね。」といった意見があり、地域交流をしたいと思っていた私たちの想いと地域のニーズが重なり、風の家を利用した地域の高齢者の方達が自由に参加できる『わらびカフェ』が誕生しました。

〝主催〟は高齢者の方達の中心的な人物として信頼されているSさんが代表を務め、〝後援〟としてみよし市社会福祉協議会なかよし地域包括支援センターがバックアップし、〝協力〟としてあさみどりの風が場の提供とする形でスタートしました。

コロナ禍前に始まったわらびカフェは毎回沢山の高齢者の方達が集い、私たちスタッフも一緒になってコーヒーやわらびのクッキーを食べながら他愛もない話しをして楽しみました。話しをするだけでも十分楽しい時間でしたが、さらに発展させてボランティアを募り、ギターやピアノ演奏、マジシャンなどを呼んで月に1回の開催を続けました。

しかし、コロナが深刻化してくるとマスクを外しての交流がメインだったので、約3年間は風の家での開催は難しく、他の広い場所を紹介しましたが、地域の方達は「ここがいい」とコロナが明けるまで待っていてくださいました。

そして、今年度より久しぶりに再開し約半年が過ぎようとしています。今、わらびカフェは地域の高齢者の方達の集いの場ですが、ゆくゆくはわらびの利用者さんとも交流が持てるような仕掛け作りをしていきたいと考えています。これからも、わらびカフェでの交流が地域で支え合うきっかけ作りに繋がっていけば幸いです。