令和6年元日に起きた能登半島地震においては、多くの福祉事業所が甚大なる被害を受けました。愛知県知的障害者福祉協会では広域避難を受入れ、指定避難所を開設して2か月間支援を続け、あさみどりの風のスタッフも様々な形で支援に入りました。その場で被災状況を現地の方の生の声をお聞きするなか、愛知県で今後起こり得る大規模災害の防災対策や被災後の応援体制等について、できる限りの準備を行っていく必要性を痛感し、協会加盟事業所が組織的に対応していくことを目的に今年度、防災委員会が立ち上がりました。(私は副会長として共に動くことになりました)
協会としては、新型コロナウイルス感染症が猛威を奮った際は、クラスターとなった事業所への応援体制を組織的に行っていました。しかし、震災となると同時期に多くの事業所が被災することが想定され、支援体制も同じようにはいかないと予測されます。正直、未知のことが多くわからないことばかりなので、10月6~7日に防災委員と協会役員で、福祉事業所の現状や実効性のあるBCPについて学ぶと共に、障がいのある方の地域生活の復興を知るために、輪島・珠洲へ視察に行ってきました。
こ の計画を立てたのは今春のことでした。この時、まさか能登に次なる災害が起こるとは思ってもみないことでした。9月の能登半島豪雨により広域避難されていた方々の事業所の1つは1階が床上浸水し、泥が入り込み使えない状況となっていました。また1軒のグループホームも近くの崖が崩れ始めているということで、緊急避難を余儀なくされていました。関係者の方はその状況を「二重災害」と表現されていましたが、復興に向け頑張っていたところなので、その気持ちの落ち込みはただならぬものだということは想像に難くないものであり、南海トラフ地震を思うと他人事ではないと気持ちが引き締まりました。(続きはまた)
現在日中活動では、生産活動を中心としたプログラムのなかに時々レクリエーションを取り入れ、利用者の皆さんが役割をもつなかでやりがいを感じながら、楽しく生活が送れるような活動の提供に努めています。今後については利用者の方の年齢が上がっていることに応じて、日中活動の在り方・活動内容も変化させていく必要があります。その次のステージに向け動こうとしている今、気になることもあります。
あさみどりの風のスタッフ間には、利用者の方の想いに寄り添うことを大事にし、ひとり一人の意見や想いを尊重し合ったチーム支援が行えるような風土はあると感じています。それは良いことだと思っていますが、近頃(その風土を保たなければ)という思いが強すぎることでの遠慮や発言のしにくさを感じることがあります。私も正直なところ遠慮して言葉を飲むこともあります。お互いを想い合うことがいけないとは思ってはいませんが、利用者支援においては、必ずしも良いとはいえないこともあると感じています。
スタッフが気を配るべきは利用者の方です。私たちスタッフの目標は「利用者の方々の幸せ」であり、気を使うべきは利用者の方々であることを忘れず、次のステージに向け進んでいきたいと思っています。そのためにも、現在あさみどりの風がもっている風土を大事にしつつ、自分たちは何ができるのか?ということを、皆でワクワクしながら意見を出し合えるチームへの成長を目指します。そして、利用者の方と共に「皆が幸せ」と感じる次のステージを築き上げていきたいです。
人口減少、超少子高齢化、一人暮らし世帯の増加等、社会の様相は大きく変化しています。それに伴い障がい分野では、「障がいがあっても地域で生活が続けられるよう支援する拠点等の整備」が自治体ごとに進められています。みよし市では障がい福祉関係者だけでなく、地域住民や企業等の理解や協力を得て、「障がいのある・なしに関わらず、互いに人格と個性を尊重し合いながら共生する地域社会の実現」を目指しています。また高齢分野では、全ての市民が「生まれてからずっと、安心して暮らせるまち」の実現を目指し、福祉・医療・介護の連携を強化しながら、ネットワークづくりを推進する「みよし市独自の地域包括ケアシステム」の構築に取組んでいます。
それぞれの取組を進める中、地域共生社会を実現するためには、子ども・障がい者・高齢者・生活困窮者といった対象者ごとの支援体制だけでは、皆さんが持つ様々なニーズへの対応は出来ないことがはっきりと課題として出てきました。そこで、今年度10月より新たな取組として、おかよし地域包括支援センター内で重層的支援体制整備事業モデル事業が開始されます。重層的支援体制整備事業とは複雑・複合課題を抱えた世帯(ヤングケアラー・8050・多重債務・孤立等)を福祉・医療・介護などの各制度・分野にこだわらず、 「包括的に支える仕組み」をみんなで創っていく事業です。みよし市では地域包括支援センター、障がい者相談支援専門員、コミュニ ティソーシャルワーカーが協働して動きます。わらびからも障がい者相談支援専門員がこの事業に加わります。
(参考)厚生労働省「重層的支援体制整備事業の実施について」
第7期みよし市障がい福祉計画・第9期みよし市高齢者福祉計画
福祉・介護で働く人手が足りないと言われて久しく、今後を考えると、何か手を打たなければ事業経営自体が厳しくなるのは必至と思っています。
その一つの対応として、11月より特定技能の外国人労働の方2名の受け入れを開始することとしました。特定技能は、2019年に創設された在留資格で、人手不足が深刻な特定産業分野で外国人労働者を受け入れるために国が決めたものです。
当法人と長く深いお付き合いのある他団体の方が、特定技能や技能実習を取り扱う管理団体に転職され、その方から特定技能についてお聞きし、オンライン(ZOOM)を利用して、異国間での面接をする運びとなりました。
複数名の方と面接をさせていただくと、どの方も日本での労働に対する真摯な姿勢は画面越しでも伝わってきて、20代前半の若い年齢で自分や家族のため、遠い国でチャレンジしようとする姿に強い感動を覚えました。特定技能で労働するには、日本語能力試験でN4相当の語学力が必要で、みなさま能力試験をすでにパスしているとのことでした。
求人において、差別なく公平性が求められる現代、外国人雇用を特別視して扱う事も差別につながり、慎重な対応が求められます。しかしながら、異文化で暮らしてきた方たちが、日本で安心して働くためには、双方に配慮や歩み寄りがないと、その実現は難しいと思います。私たちは、どんな人でも差別なく、安心して暮らせる社会の実現を目指す支援者です。違う文化で暮らしてきたという背景がありながら、大きな期待と真摯な気持ちで日本に来る外国の若者たちに、がっかりされないような雇用機会の提供と障がい支援という仕事のやりがいを感じていただけるよう取り組んでいきたいと思います。
わらびの5つ目のグループホームである『風の家』は「風通しのいい家で、地域の人達がふらっと遊びに来られる地域交流ができるようなホーム」というコンセプトがありました。
みよし市社会福祉協議会主催の研修会で「地域に住んでいる高齢者の方達が自由に参加できるカフェのような場所があればいいよね。」といった意見があり、地域交流をしたいと思っていた私たちの想いと地域のニーズが重なり、風の家を利用した地域の高齢者の方達が自由に参加できる『わらびカフェ』が誕生しました。
〝主催〟は高齢者の方達の中心的な人物として信頼されているSさんが代表を務め、〝後援〟としてみよし市社会福祉協議会なかよし地域包括支援センターがバックアップし、〝協力〟としてあさみどりの風が場の提供とする形でスタートしました。
コロナ禍前に始まったわらびカフェは毎回沢山の高齢者の方達が集い、私たちスタッフも一緒になってコーヒーやわらびのクッキーを食べながら他愛もない話しをして楽しみました。話しをするだけでも十分楽しい時間でしたが、さらに発展させてボランティアを募り、ギターやピアノ演奏、マジシャンなどを呼んで月に1回の開催を続けました。
しかし、コロナが深刻化してくるとマスクを外しての交流がメインだったので、約3年間は風の家での開催は難しく、他の広い場所を紹介しましたが、地域の方達は「ここがいい」とコロナが明けるまで待っていてくださいました。
そして、今年度より久しぶりに再開し約半年が過ぎようとしています。今、わらびカフェは地域の高齢者の方達の集いの場ですが、ゆくゆくはわらびの利用者さんとも交流が持てるような仕掛け作りをしていきたいと考えています。これからも、わらびカフェでの交流が地域で支え合うきっかけ作りに繋がっていけば幸いです。