
グループホームの活動で、朝の喫茶店へモーニングを食べに行きました。その時間を、少し引いた視点から「物語として見ている自分」がいると想像してみます。支援者と利用者が並んで座り、コーヒーの湯気が上がり、店内のざわめきが流れる。その光景を「見る」自分と、その場に「いる」自分が同時に存在しているような感覚です。私たちは生活という物語の登場人物でありながら、その物語をどう語るのかを同時に考えている語り手でもあります。
利用者さんは普段、支援者が用意した食事を食べられていますが、もちろんそれだけが生活ではありません。たまには喫茶店で過ごすことがありますし、誰にとっても、外に出て「景色を見る」ことも大切な生活の一部です。「行きたくないなら行かない」という選択肢があることも同様です。大切なのは、その人自身の「選ぶ視点」を尊重することだと思います。
一方で支援者は、安全確保も強く意識しています。突然に利用者さんの所在が分からなくなる事態は避けたい、そうした思いが強くなりすぎると、「外に出ない方が安全だから」と、生活が閉じた物語になってしまう危険があります。多くの利用者さんは支援者の都合を敏感に感じ取っており、必要以上に気を遣わせてしまうのは健全ではありません。もし気を遣わせてしまったなら、「ありがとう」「ごめんなさい」と丁寧に伝えられる支援者でありたいと思います。
「地域で暮らす」ということは、こちらの姿を地域に開き、理解してもらうことでもあります。合理的配慮は、一方的に求めるものではなく、まず「見てもらうこと」「知ってもらうこと」から始まると感じています。私たちは生活という物語を、地域とともに紡ぎながら、その場をどう見つめていくのかを学んでいるのだと思います。
第3作業室は、お今年の盆明けからの新体制のもと、自主製品の製作と販売に特化した作業室へと変わりました。現在は、クッキーなどの焼き菓子の製造や、刺繍や組紐を使用した雑貨などの製作を行っています。中でも特筆すべきは、製菓部門に4名の新メンバーが参加したことです。
食品を扱う仕事は、衛生管理がとても重要です。新メンバーはまず「見習い」として、手洗いの方法や作業衣の正しい着用を徹底しながら、製菓に関わる仕事の練習を進めています。中には、日頃から自宅で料理のお手伝いをしている方もおり、「計量が早くて正確」「シール貼りが丁寧」「泡立てが上手」など、それぞれの得意な部分が新たに見えてきました。こうした発見は、これまで職員が担っていた工程を、少しずつメンバーに任せていけるという可能性につながっています。そして12月からは、いよいよ見習いを卒業し、現場で戦力として活躍していただく予定です。新しい方たちの力を活かしながら、皆で自主製品部門をさらに盛り上げていきたいと考えています。また、製品づくりを通して、一人ひとりが成長や自信を感じられる場にしていけたらと思います。
今後は、わらびの自主製品を地域でより多くの方に知っていただけるよう、販売先や設置先を広げていきたいと考えています。地域で販売や設置にご協力いただける方や、ご注文をご希望の方がいらっしゃいましたら、ぜひお電話にてお問い合わせください。皆さまとのつながりを励みに、これからも新たな挑戦を続けてまいります。
社会福祉法人あさみどりの風は、2020年の事業開始から今年の10月で5週年を迎えました。この節目の年を無事に迎えることができたのは、日々ともに歩んでくださる利用者の皆さま、ご家族、地域の方々、そして支援者の皆さまのあたたかな支えがあってこそだと思っております。心より感謝申し上げます。
私たちの歩みは、1982年(昭和57年)4月に開所した「わらび福祉園」から始まりました。それから40余年、「誰もが援け合いのなかで、共にくらし、共にそだちあう地域文化をつくる」という理念の基で、障害のある方が地域で様々な方と共に生きる場を築いてきました。支援の形は時代とともに変化しましたが、「人を想う、人とつながる」という根幹の部分は、今も変わらず息付いていると思っています。
法人の基本方針のひとつに、「支援の基本姿勢は本人本位で行う」というものを掲げています。人間尊重の姿勢を根幹に、本人の思いに耳を傾け、その方が「幸せだ」と感じられる支援を追求する、その積み重ねが、あさみどりの風の原点だと思っています。
先日行われたあさみどりグループ研修(あさみどりの会との合同研修)では、研究者マインドを持つことの大切さというお話がありました。障害者福祉のプロとして学び続ける姿勢は大切ですが、支援の出発点はいつも、目の前の方をよく「観る」、想いを「聴く」、そして人を「知る」という当たり前の行為の繰り返しにあると思っています。
5周年を迎えた今、私たちはその原点をもう一度胸に刻み、日々の支援や地域との関わりを通して理念を実現していきたいと考えています。この風が、これからも誰かの背中をそっと押し、安心して生きられる地域文化を育てていけるよう、皆さまと共に歩みを進めてまいります。
皆さんこんにちは!まだまだ残暑が続く中、体調お変わりないですか?
今日わたしが担当する内容は、どう担い手を作るのか・・・という壮大なテーマについてです。少子化・高齢化の中、担い手が集まらない現状はここ数年続いています。
国も働き方改革等、労働環境の見直しや多様化のニーズに応えられる人材の確保(キャリアアップの仕組みの構築)等、様々な指針を打ち出しているものの、どこまで効果があるのかわからないのが現状です。
では、どうしていくのがよいのか。色々調べると、各市や法人等で色んなアイディアを出し、プロモーションしている記事が出てきます。何が効果的なのかはわかりませんが、今はSNSの時代です。それをもっと活用して、この仕事の魅力を発信していく必要があると考えますが、どう福祉の魅力発信をしていくとよいのか。
みよし市では地域自立支援協議会にて主催講演会やイベントの開催を行っています。昨年度はみよしイオンをお借りして、地域共生社会の実現に向けた取り組みを行い、たくさんの方に広く福祉を知っていただく機会となりました。今年度についても現在構想段階ですが、「将来なりたい職業ランキング20位以内」を目指す取り組みを考えています。
ターゲットは小中学生で福祉の担い手を作るためにどうしていけばよいのか。実際、ランキングに上がる職業は芸能関係やSNS関連、今も昔も変わらない医者や看護師等です。
そこにどう福祉を入れていくのか、どう発信していけばいいのか悩ましいところなので、アイディアがあればいただきたいです。一緒にこの仕事の魅力を発信していきましょう!
7月30日に衣浦東部保健所で開催された『アルコール相談技術対応研修会』に参加し、刈谷病院副院長の浅野医師による「アルコール依存症の基礎知識」の講義を聞きました。講義を通じて、アルコール依存症は単なる飲酒習慣ではなく、脳の神経に異常をきたす病気であり、本人の意思や努力の問題ではないことを学び、これまでの考え方を改めるきっかけになりました。また、精神障害との合併も多く、一人で回復するのは難しいことも実感しました。
特に印象的だったのは「朝食習慣」の例え話です。普通の人はパンがなければご飯やシリアルで代替できますが、依存症の方は夜にお酒がなければ我慢できず、深夜でも買いに行ってしまう。これは意思の問題ではなく、脳の変化による強い欲求だと知り、依存症の本当の姿を理解できました。
体験談では、妻の目を盗んでビールを飲んだり、消毒用アルコールまで口にしてしまう事例が紹介され、理性では抑えられない現実に胸が痛みました。小学2年生の娘が「普段のお父さんは好きだけど、お酒を飲んでいるお父さんは好きじゃない。」と泣いた話も心に残りました。母親は離婚まで考えたそうですが、依存症を病気と理解し、夫と向き合ったことで、本人も「自分ではどうにもできない。助けてほしい。」と気持ちを打ち明け、家族と共に回復に向かえたことがとても印象的でした。
今回の研修を通じ、アルコール依存症は本人だけでなく家族にも大きな影響を与える病気であること、支援者には正論ではなく共感と寄り添いが求められることを学びました。また、趣味や仲間とのつながりなどアルコール以外の「依存先」を増やすことが回復の支えになることも理解できました。今後はこの学びを生かし、本人と家族の両方に寄り添える支援者になりたいと感じました。
令和7年6月7日、東京第一ホテル錦にて、第18回フォーラム・あさみどりが開催されました。淑徳大学副学長の鈴木敏彦先生の「意思決定支援が紡ぐ障がい者福祉の未来」をテーマとした講演、「自己決定を支える家族と支援者のあり様を考える」という鼎談も行われました。その内容は、改めて自分たちの仕事の本来の意味を確認する機会となりました。
「意思決定支援」とは、障がいや認知症などにより、意思決定が困難な方々が、可能な限り自分で意思決定できるようにサポートするプロセスを指します。私たちは、日々その実践を繰り返しながら、ご本人方が自分の人生を主体的に送れるようサポートするという重要な役割を担っているといえます。
改めて、実践できているのだろうかと振り返ってみると、利用者の方を説得する場面や、過度に先回りしての段取り準備・・・一方的な対応が多くあるように感じます。長く付き合う中で得た理解が固定観念となり、意思を代弁しているつもりが支援者の価値観主導になってしまうことも多いように感じます。
私たちの仕事は、利用者の方一人ひとりが自らの人生を主体的に生きることをサポートすることです。日々の事象に目を向けがちですが、基本に立ち返り、その方が今までどのように暮らしてきたのかを知りたいと思っています。これからどのような人生を送りたいのかを、ご本人を中心にご本人を取り巻く方々と想像し、選択、体験、振り返りを繰り返しながら、これからの暮らしを創造していく支援を目指したいと感じました。今後、どのような具体的な取り組みが必要なのかをさらに深く考え、実践につながるイメージを明確にしていきたいと考えています。
現在、私は4法人合同の研修に参加しており、愛知県と沖縄県の事業所間で職員同士が交流しながら学んでいます。先日の研修では「何とかしたいをできそうに変える工夫」というテーマのもと、AIを活用して業務効率化に取り組んでいる事例を学びました。AI(人工知能)は、問題解決の提案、計画立案、医療的な見立てなどを行うことができ、福祉の現場にも導入が進んでいます。
AIの最大の利点は、業務の効率化だと考えます。研修で紹介された事例では、利用者の基本情報や日々の記録を入力することで、AIが個別支援計画を作成してくれるというものでした。これにより、職員は書類作成にかかる時間を減らし、利用者さんとの関わりにより多くの時間を使えるようになります。結果として、利用者の想いをより反映した支援が可能になると感じました。
AIのメリットを考えると、なんて便利なものだろうと感じます。一方で、AIの導入には注意が必要だと考えます。AIに頼りすぎることで、支援者が本来行うべき思考や判断を放棄してしまう可能性があります。AIがあるから記録を取る、AIが考えてくれるから自分は考えない、といった本末転倒な支援にならないよう、「AIを何のために使うのか」という目的を明確にすることが重要です。
研修で紹介された「楽をするわけではなく、愉しむを考える」という言葉のように、業務効率化は職員の負担軽減が目的ではなく、最終的には利用者のためにあるべきだと考えます。AIはあくまでも人間の支援を補助するツールであり、その役割を正しく理解し活用することが求められます。
今回のこの文章も、私の言いたいことをAIに要約してもらいました。AIを使えば文章を書くハードルも下がりますね(笑)
こんにちは!
2009年から「わらび」で働いている私ですが、今までずっと日中の現場で働いていましたが、今年度ついに部署異動となり、グループホームでの勤務が始まりました!
これまでホームの現場に入る機会は少なかったため、新しい環境への不安もありましたが、挑戦できる喜びの方が大きくて、ワクワクしながらスタートしました。
実際、ホームごとにルールや運営方法が異なるなど、戸惑うこともありましたが、利用者の方々やスタッフの皆さんに支えられ、少しずつ業務に慣れてきています。
グループホームは、利用者の方々にとって大切な暮らしの場です。一人ひとりの望む生活を実現するために、これからも日々努力していきたいと思っています。
新しいホームの建設も予定されており、5年後、10年後を見据えながら、より良い暮らしの場を作っていきたいです。利用者の方々が培ってきた生活力を尊重し、その時々の状況やニーズに合わせて柔軟に対応していけるように、精一杯努めていきたいと思います。
そして何より、利用者の方々が安心して生活できるよう、日々の時間を大切にしながら共に歩んでいきたいです。
4月5日(土)、新年度のスタートに合わせて、法人職員が一堂に会し、外部会場にて法人研修を実施しました。今年度の研修テーマは「次世代型福祉の創造」。講師としてお招きしたのは、日本福祉大学福祉経営学部の綿祐二教授(社会福祉法人睦月会 理事長)です。
社会の変化が著しい今、私たち福祉従事者がこれから何を目指し、何を紡ぎ、何を実行していくのか。綿教授の講演は、その本質を問い直すものでした。特に印象に残ったのは、「障害者にも権利と義務がある」という基本に立ち返り、生活支援のあり方を見直す重要性についてのお話です。
将来を見据えた日中活動や居住支援、成年後見、家族との関係づくり、加齢への対応、経済的な支援体制まで、包括的で主体性を尊重する支援の必要性を改めて実感しました。
後半のグループワークでは、各部署が今年度の具体的な行動計画を策定。進捗は法人内で共有し、年度末には綿教授に評価報告を考えています。
私たちは今回得た学びを胸に、一歩ずつ、利用者のより良い暮らしの実現に向けて歩んでいきます。
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生活支援員 桑原 政裕
入社間もない頃、熊谷さんから「うちの法人は親との距離が近いのよ」と言われました。その時はまだその意味がよく分からなかったですが、新法人設立を機に発行された「わらびの途」を読み進める中で、今日までの40数年間で、職員、親御さんと公私ともに一緒になって、わらびを創ってきたことを知り、その言葉の意味を深く理解することが出来ました。フォーラムあさみどりの鼎談で、90歳近い親御さんが60歳の利用者さんと遠方へのドライブを続けている話題が挙がりました。それに対し、本人さんが楽しみしていることなので、続けたい親御さんの気持ちも分かるが、親御さんの高齢運転について心配だと言う意見がありました。確かにそうだなと思ったと同時に、何か引っかかるものを感じたので、その状況を自分になりに想像してみました。子どものためにやっている親御さんの嬉しそうな顔を見て、喜んでいる利用者さんの笑顔が浮かびました。この時間、何を「楽しい」と感じているのかな?もちろん、自分の想像なので真実は分かりませんが、何をもって楽しいと感じているかを知ることを丁寧に行い、あさみどりの風で出来ることをやっていきたいと思います。
