BCP研修の報告

生活介護事業所わらび 生活支援員 加藤晃一

1月25日の午後、BCP研修に参加しました。

研修の流れ

1、法人のBCP全体像の共有と基本方針の確認

まず、法人のBCP(事業継続計画)の全体像を共有し、災害時の基本方針を確認しました。

2、事業別のBCP重要項目の抽出

次に、事業ごとに重要な項目を抽出しました。生活介護事業所のグループでは、以下のことを確認しました。

・避難場所と避難方法

・出勤簿での安否確認

・タイムスケジュールに外出の把握を反映

3、訓練

災害発生時に迅速かつ効率的に業務を継続するため、必要なリストや計画を作成する訓練を行いました。以下のポイントに分かれて取り組みました。     

・施設備品リストの作成

耐震対策や転倒防止を確認。(新たなスタッフの視点から危険な避難路に気づくことができました。)

・緊急連絡先リストの整備

職員や地域医療機関、関連施設の連絡先を確認・整備しました。

・備蓄品リストの作成

飲料水、食料、医薬品、簡易トイレ等の保管場所を確認しました。(屋外の倉庫や屋根裏部屋の備品確認をしましたが、場所の情報共有が徹底されていなかったことがわかりました。)

参加して感じたこと

これまで防災については担当者が中心に考えてきましたが、他のスタッフが加わることで、様々な気付きがありました。今後は研修等を含め全員で防災情報を確認し、見直しを行い実践していくことが大事だと感じました。支援と同じですね。災害や感染症・・・どちらも起こって欲しくはありませんが、皆さんの安全と健康を守るために、平時である今だからこそ準備をし、安心安全な環境をつくっていきたいと思います。

「支える人を支える」ために

生活支援員・衛生管理者 菅原圭佑

 突然ですが、みなさんは「衛生管理者」という職務をご存知でしょうか?

 衛生管理者とは労働者の健康や安全を守るために衛生管理を行う専門職です。私は日々利用者支援に従事しながら、衛生管理者としての職務も担っています。

 衛生管理者の業務は多岐に渡りますが、今回は「職場巡視」についてご紹介します。職場巡視とは、定期的に職場内を巡回し、危険箇所や業務上不便なところがないかを確認し、改善を促すことや助言をする業務です。最近は自然災害が多く、当施設のある愛知県でも南海トラフ地震発生が懸念されているため「もし今地震が起きたら」と想像しながら巡視をしています。建物自体の異状や家具等の固定状況、導線上に物がないかなどの確認は特に気を付けています。また、職場環境等を確認し、備品の新調をはじめとした業務効率化の提案なども行っています。もちろん、私の視点だけではなく、実際に働いている現場職員の意見を聞き状況確認を行うよう心がけています。

 私は日々の利用者支援と同様に、衛生管理者としての仕事もやりがいを持って取り組んでいます。当施設の職員は、誰もが責任感が強く利用者さん思いです。しかし、その反面自身を顧みず、相手を優先してしまいがちなところもあるように感じています。「誰かのために」という精神は素敵なことだと思いますが、私は「いい支援」は「自身の心身の健康」の上に成り立つものであり、「自己犠牲」であってはならないと思っています。そうならないためにも、職員の健康や現場の状況を把握し、より安全で働きやすい職場環境を目指していきたいです。至らぬところも多々ありますが、これからも「支える人を支える」ため日々の業務に邁進していきます。

職場環境の改善とは

共同生活援助事業所わらび 管理者 重松朋博

 先々月、愛知県社会福祉協議会が主催する「福祉・介護の職場環境改善研修」に幹部職員が参加しました。福祉・介護分野の職業は、職場環境が厳しいイメージが先行していることもあり、人材難に陥って久しいです。そんな状況を受け、職員が生きがいをもって意欲的に楽しく働き続けることができる職場環境構築のために企画された研修です。「働き方改革」「外国人人材の登用」「ICT(情報通信技術)の導入」「イメージ戦略」等のそれぞれのテーマ別で講師が講演され、会場でのワークで「基本目標」を設定し、その目標を事業所に持ち帰り協議して計画を作成し、後日その進捗を報告していくといった内容でした。

 わたしはICT導入など複数のテーマに参加しましたが、テーマは違っても要点は同じでした。まず業務現状を整理し、業務として何を一番大事にするかを意識しながら、何を効率化、省力化したいのかを明確にすることが肝要とのことでした。自分の経験からも福祉現場での傾向として、社会で必要不可欠な仕事なのだから、必要な時には仕事優先になって仕方がないというものがあるように思います。そのような傾向も、やむを得ず事実である部分が多いのですが、この研修を受け、必要な時に無理なく仕事に取り組める仕組みに最大限なっているかは、それ以上に重要だと感じました。働き方の見直しや業務の効率化、省力化に尽力を十分にせず、職員にその負担を強いては、人材確保の面で、この業界の未来はないとあらためて感じました。

 まだ整理し始めたばかりですが、法人での事業のみならず、この業界の安定持続できる業務スタイルの確立を目指し、尽力していこうと思います。

暮らしのあり方の意思決定支援

共同生活援助事業所わらび 生活支援員 林健介

 10月3日、4日に福井県福井市で開催された全国知的障害福祉関係職員研究大会へ行ってきました。私が聴講した分科会では、千葉県の施設の支援者がパネリストで登壇され、暮らし方の意志決定支援の話をされていました。「そもそもグループホームという暮らし方を自分から望んで暮らし始めた人は少ない。」という話をされていました。いろいろな暮らしの選択肢が本当はあるということです。ちょうどわらびの利用者の中にも「一人暮らしをしたい」と言っている方がいるので、その意思をどのように尊重すればよいか、今回の研修を参考にして実践していきたいと思っています。

 意思決定が大事というのはその通りなのですが、自分のことを自分で決めるのは実は難しいことですよね。「暮らし方」という大きな意思決定をする前に、今の自分の生活についての小さな意思決定をすることも大切な意思の耕しになると思います。そして大きな意思決定に関してですが、まず自分のやりたい事のおおまかな方向づけからしていくのが大切ではないかと思います。私たち支援者の立場からいえば意思決定支援の前段階の意思形成支援です。そこから何がしたいのか何がしたくないのか、何ができるのか何ができないのかを確認して意思決定に至るのだと思います。

 わらびにおいて暮らし方が変わる利用者がいたとしても、サポートが必要な部分を支援者がサポートをするという方針は変わりません。「地域移行」とは、地域へ追い出して放っておくということではありません。本人の望む暮らし方を一緒に探して見つけることを大切にし、本人もご家族も不安のないサポートを支援者が一丸となってやっていければと思っています。

2025年が始まりました。

副施設長 柿下大悟

 新年明けましておめでとうございます。本年も皆様にはあたたかいご支援を賜りたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

社会福祉法人あさみどりの風は、2020年10月に前法人であるあさみどりの会わらび福祉園から運営を継承して事業を開始し、2024年の10月からは5年目に入ることとなりました。

あさみどりの風の理念である「誰もが援け合いの中で、共にくらし、共にそだちあう地域文化をつくる」は、障害を持った方の支援という枠を超え、人と人とのつながりを深め、地域に住む全ての方々が共生する社会の実現を目指しています。その根幹には、誰もが「孤立することなく、援け、支え合いながら生きる権利」を持つという考え方があり、また、それを実現するための地域文化の育成が含まれていると考えています。

「理念」と言うととても崇高で身近ではないと捉えがちになってしまいますが、日々の営みの中にも理念へと繋がることは多く含まれています。今月のブログでは3人の方が記事を投稿してくれていますが、防災や和來の活動等の地域での活動は「地域文化をつくる」ため取り組みそのものですし、意思決定支援は「誰もが援け合う」ために必要不可欠な要素です。理念とは難しい行動や思考で達成していくものではなく、私たちが普段行っていることの延長線上にあるのだと考えています。

「誰もが援け合いの中で共に生きる」ということは、障害の有無に関わらず、すべての人々が幸せに生きるために必要なことです。法人設立5年目という節目を迎え、この理念を共有し、行動に移すことで、より豊かな地域社会を築くことができると考え、日々を歩んでいきたいと思います。

わらび開設当初(前法人)の写真です。そこから40年以上にわたり理念を繋いできました。

目指せ!相談支援専門員

~相談支援従事者初任者研修を受けて~

露木 理沙

 私は現在、生活介護事業所わらびで生活支援員として働いています。生活介護では作業を主としており、利用者さんがどのように作業したいのかを知ったり、それに向けてどのような取組が出来るのかを皆で考えたり、作業が出来た事を皆で共有する日々にやりがいを感じています。そのような中ですが、頭の片隅には学生の時に目指していた「相談支援専門員をやってみたいな」という想いもありました。

 しかし、「難しそうだし私には出来ないかも」と漠然と考えていると、施設長から「やってみない?」と声をかけていただきました。背中を押され、挑戦してみようという気持ちになり、今年度、相談支援従事者初任者研修を受講しています。研修では座学の他に小グループでの演習もあり、同じグループの中には制度について詳しい方や話し方が丁寧な方など様々な方がいらっしゃり、刺激を受けることがたくさんあります。また、課題のひとつに事例検討がありました。対象の方に聞き取りを行い、課題を作成していく中で学んだことは、相談支援専門員の聴き方や読み取りの力などによって、相談者から出る言葉や仕草などは大きく変わるという事です。私が聴くと答えに困っていたことを、他のスタッフには伝えていたことがあり、改めて関係性づくりの大切さや聴き方についてなど、学ぶことはまだまだ多くあると思いました。

 研修も残り少なくなりましたが、無事に終えることができるように全力で取り組みます。

輪島・珠洲視察②

理事長 熊谷かの子

 今回の視察は、あさみどりの会れいんぼうワークス所長田中雅樹さん(輪島市出身)も一緒でした。彼の実家の辺りの住民は、全員が自衛隊のヘリコプターで救助され、現在は多くの方が仮設住宅暮らしをされているそうです。たまたまその仮設住宅が視察施設の近隣だったので訪問させていただくと、水害後に実家の辺りを取材した報道者と映像を観られているところでした。その映像は、もう、実家の辺りに戻ることは厳しい状況を示すものだったようで、田中さんのお母さまは「水害は地震より質が悪い」とおっしゃっていました。かなりショッキングな映像だったと思うのですが、次にお母さまの口から出たのは「もう、戻るのは難しい。今、仮設で地域の人がまとまって暮らせている。このまま地域の人が一緒に暮らせるように、この先のあの廃校になった学校の土地があれば広くなる。みんなで暮らせるのが良い・・・」という言葉でした。この厳しい現状のなかで、直ぐに次なる最善の策を考えられるその「生き抜く力」に圧倒されました。そして、その背景には地域の縁を育んできた「みんなで」の力が大きいように感じました。

 わらびにも、ご本人を中心に、ご家族・支援者の「みんなで」の空気が流れていると思っています。この「みんな」のなかに、地域の方々が自然と含まれるように地域の縁を紡ぎ、大きな力となる「みんな」の輪を育んでいきたいと思っています。

仮設住宅 田中家はこの木の部分に実家から持参した盆栽が飾られていました。

「こんなことなら、もっと持ってくれば良かった・・・」と

産休・育休を経て

 生活支援員(事務) 田中 桃子

 産休育休を経て、仕事に復職する際の不安ごととして「仕事と育児が両立できるのか?」「周囲に迷惑をかけないか?」ということがありました。そこで、上司と相談させて頂き、時短勤務制度を利用して復職することを決めました。「時短にしたし、通う保育園も無事決まったし、職場への書類提出も済んだからあとは出勤するだけ!」と思っていました。しかし、復帰した直後から、子どもの体調不良で急な早退や欠勤が続き、思うように仕事が進められない・・・。事務員としての仕事は常に期日があり、決まった日までに決まった業務を終わらせなければならないのに残業は出来ない・・・。周りの皆さんに迷惑ばかりをかけている状況のなか、罪悪感を持ちながら働いていました。当然仕事のモチベーションも上がらず、思うように家庭と仕事が両立できないことに挫折感を感じていました。

 夫に相談すると、「自分はどうしたいのか?」と問い返されました。「自分はどうしたいのだろう?」と改めて自分の気持ちを整理すると、家庭と仕事全てがスムーズに行かない事にただやみくもに重きをおいていたことに気付きハッとしました。「自分の大切にしたいこと」や、「仕事や育児の“軸”」を具体的にすることで、漠然と何もかもがダメだと思えていましたが、出来ていることも見えてきました。その1つが思ったよりも早く子どもが保育園に慣れていることでした。そこで、今年度の途中からは時短勤務から通常勤務に変更し、今に至ります。

 悩みや心配ごとを事前に全てクリアにすることは難しいですし、思ったようにならないことも多くあります。そこで大事なのは「申し訳ない」という気持ちに潰されてしまうのではなく、配慮に感謝し、貢献で応えていく気持ちを意識することではないかと感じています。「助けてもらったのだから、自分が助けに回れるときには率先して助ける」という思いを持ち、周囲に支えられている今の状況に感謝をする気持ちをいつも忘れずにいたいです。

輪島・珠洲視察①

理事長  熊谷かの子

 令和6年元日に起きた能登半島地震においては、多くの福祉事業所が甚大なる被害を受けました。愛知県知的障害者福祉協会では広域避難を受入れ、指定避難所を開設して2か月間支援を続け、あさみどりの風のスタッフも様々な形で支援に入りました。その場で被災状況を現地の方の生の声をお聞きするなか、愛知県で今後起こり得る大規模災害の防災対策や被災後の応援体制等について、できる限りの準備を行っていく必要性を痛感し、協会加盟事業所が組織的に対応していくことを目的に今年度、防災委員会が立ち上がりました。(私は副会長として共に動くことになりました)

 協会としては、新型コロナウイルス感染症が猛威を奮った際は、クラスターとなった事業所への応援体制を組織的に行っていました。しかし、震災となると同時期に多くの事業所が被災することが想定され、支援体制も同じようにはいかないと予測されます。正直、未知のことが多くわからないことばかりなので、10月6~7日に防災委員と協会役員で、福祉事業所の現状や実効性のあるBCPについて学ぶと共に、障がいのある方の地域生活の復興を知るために、輪島・珠洲へ視察に行ってきました。

こ の計画を立てたのは今春のことでした。この時、まさか能登に次なる災害が起こるとは思ってもみないことでした。9月の能登半島豪雨により広域避難されていた方々の事業所の1つは1階が床上浸水し、泥が入り込み使えない状況となっていました。また1軒のグループホームも近くの崖が崩れ始めているということで、緊急避難を余儀なくされていました。関係者の方はその状況を「二重災害」と表現されていましたが、復興に向け頑張っていたところなので、その気持ちの落ち込みはただならぬものだということは想像に難くないものであり、南海トラフ地震を思うと他人事ではないと気持ちが引き締まりました。(続きはまた)

次のステージに向けて

障害福祉サービス事業所わらび サービス管理責任者 國澤 宏登

 現在日中活動では、生産活動を中心としたプログラムのなかに時々レクリエーションを取り入れ、利用者の皆さんが役割をもつなかでやりがいを感じながら、楽しく生活が送れるような活動の提供に努めています。今後については利用者の方の年齢が上がっていることに応じて、日中活動の在り方・活動内容も変化させていく必要があります。その次のステージに向け動こうとしている今、気になることもあります。

 あさみどりの風のスタッフ間には、利用者の方の想いに寄り添うことを大事にし、ひとり一人の意見や想いを尊重し合ったチーム支援が行えるような風土はあると感じています。それは良いことだと思っていますが、近頃(その風土を保たなければ)という思いが強すぎることでの遠慮や発言のしにくさを感じることがあります。私も正直なところ遠慮して言葉を飲むこともあります。お互いを想い合うことがいけないとは思ってはいませんが、利用者支援においては、必ずしも良いとはいえないこともあると感じています。

 スタッフが気を配るべきは利用者の方です。私たちスタッフの目標は「利用者の方々の幸せ」であり、気を使うべきは利用者の方々であることを忘れず、次のステージに向け進んでいきたいと思っています。そのためにも、現在あさみどりの風がもっている風土を大事にしつつ、自分たちは何ができるのか?ということを、皆でワクワクしながら意見を出し合えるチームへの成長を目指します。そして、利用者の方と共に「皆が幸せ」と感じる次のステージを築き上げていきたいです。