第61回心身障害問題を考える集いを開催しました

副施設長 柿下大悟

 7月6日(土)に第61回心身障害問題を考える集いが開催されました。今回は「共に助け合う社会の実現に向けて」というテーマのもと、野澤和弘氏(植草学園大学副学長・発達教育学部教授)を講師に招き「弱さを愛せる社会へ」(野澤氏の著書の題名でもあります)と題した講演をしていただきました。

 40年後には日本という国はなくなっているかも?といった刺激的なはじまりでお話をされていきました。もちろん、必ずそうなるというわけではなく、そういった可能性が現在の日本にはあるということです。そこには、虐待、貧困などの社会的な課題や、自罰感情を持ちやすいという日本人特有のメンタリティーなど、様々な要因が絡んでいると野澤氏は仰っていました。

 では、これから先、私たちはどのような道を歩んで行けばよいのでしょうか?野澤氏の様々なお話の中で、私は「当事者のパッション」という部分に強く思いが惹かれました。障害のある方の、訴えや想いに対して心を動かされた経験が自分にもありますが、それは、皆さんが発信してくれる想い(言葉や、言葉以外の部分も含めて)が、自分の感情を揺さぶり、野澤氏の言葉を借りれば、五感をフルに使った思考をさせてもらえるからなのだと思います。そういった力(パッション)が私たちの支援する方々にはあり、もしかしたら社会を変えていくひとつの流れを生む力に繋がるのかもしれません。

 野澤氏の講演を通して、私たちの仕事の意味を考え、障害分野だけでなく広い視点で社会を観ることの重要性を教えていただいたと感じました。そして何よりも目の前の利用者さんへの支援を大切にしていきたいと、想いをあらたにする機会となりました。